墜落・転落災害に繋がる高所作業やクレーン等重機災害といった危険作業の多い建設業のお仕事は、一歩間違えば死亡事故が起こりかねません。

厚生労働省の発表によると、全業界の労働災害による死亡者数のうち、建設業が占める割合は、3割で1位となっています。

この様な危険の多い建設業にとって「ゼロ災害」は非常に重要なテーマです。

しかし、建設業の職場は他の業界と比較すると特殊な面があり、「ゼロ災害」達成が難しい面があります。

そこで、今回は建設業向けに、「ゼロ災害」達成に必要な取り組みについてご紹介します。

建設業の職場が持つ特殊性

取り組みについて述べる前に、建設業の職場の特殊性についてしっておく必要があります。

建設業ならではの特殊な面とは何でしょうか?

まずは、それについて解説します!

1-1 作業が複数の異なる業者で行われる

建設業には屋根工事、左官工事、鉄筋工事など様々な専門業者が存在します。

建設現場は、これらの異なる多くの業者が同時に作業を行う場所です。

専門業者が異なると、作業内容が変わるので、どこに危険が潜んでいるかも変わってきますし、残念ながら業者によっては安全の意識が低いところもあります。

この様な異なる意識を持つ、異なる作業を行う業者が多数入っている現場の安全管理は、他の業種と比較して非常に難しいと言えるでしょう。

1-2 作業現場の状態が日々変化する

建設現場は、他の業界と比較して作業環境が日々激しく変化する場所です。

例えば、工事開始直後は、地上での作業のみであったものが、足場が作られれば高所作業が発生しますし、天気が晴れから雨に変わるだけでも作業の危険度が一気に高くなります。

このように、現場の状態が変化すれば、潜んでいる危険の要因も変化するため、その要因に見合った安全対策が必要です。

安全対策は、一つの危険要因の対策だけでも相当の労力を必要とします。

その危険因子が建設現場には多数存在し、かつ日々変化するので、建設現場の安全対策の難易度は相当高いといえるでしょう。

1-3 完全に除去することが出来ない潜在的危険が存在する

不注意、連絡不足、危険軽視など人は必ず何かしらのミスを犯す生き物です。

また近年は、高齢者や技能実習生などの人材が増加傾向にあり、よりミスが起きやすい環境にもなってきています。

これらのミスは、ヒューマンエラーと呼ばれており、どんなに素晴らしい安全対策をとったとしても100%取り除くことは出来ません。

作業が行われている場所では、このヒューマンエラーが常に潜在的な危険として存在しているのです。

加えて建設現場では、高所作業や重機使用など常に危険と隣り合わせの作業も発生します。

そのような非常に危険な作業現場でのヒューマンエラーは死亡事故などの重大災害に繋がりかねません。

ヒューマンエラーの対処は、最終的には作業者一人一人の安全意識を高めることが鍵です。

しかし、安全意識は口でいっても中々簡単には高くならない現実があるのではないでしょうか?

建設業の職場がゼロ災害達成に必要な3つの取り組み

前項で、建設業の特殊性と安全への取り組みの難しさを説明しました。

では建設業の職場では、ゼロ災害に向けてどんな取り組みを行えば良いのでしょうか?

今回は重要と思われる項目3つに絞ってご紹介します。

 2-1 安全第一への意識向上

建設業の現場では、複数の業者が作業を行うため、まず安全意識を向上することが大事になります。

なぜなら、前項でも述べた通り、安全への意識が低い業者も存在するからです。

この様な業者が一つでも存在すると、重大なヒューマンエラーが発生する可能性が高くなります。

日々のミーティングなどで、工程よりも安全第一であるということを業者に念押しして、安全意識を高めてもらうことが重要です。

 当たり前に聞こえるかもしれませんが、日々コツコツと安全第一を訴えることで安全意識は高まります。

安全第一への意識向上の徹底が、ゼロ災害達成への鍵です。

2-2  安全衛生教育の徹底

業種が異なれば、現場に潜む危険因子も異なるため、業者毎に安全衛生教育を実施して危険因子を可視化することが必要です。

安全衛生教育の具体例としては

  • 5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)
  • KY活動(危険予知活動)
  • ヒヤリ・ハット事例の報告と共有

などがあります。

これらの教育は、建設業では当たり前に行われていると思いますが、徹底されているかが重要です。

例えば、工期に余裕がない、人員不足といった理由で、工程重視になり、これらの教育が適当になっていませんか?

また、慣れている作業だからという理由でこれらの教育をスルーしていないでしょうか?

この様に、本来やるべき教育が徹底されていないと、ヒューマンエラーが発生するリスクが高くなります。

こういった安全衛生教育を徹底するには、教育時間を加味した余裕のある工期設定や、業務過多にならないような人員配置といった職場環境の改善も併せて必要です。

人手不足にあえぐ建設業にとっては非常に難しいことですが、ゼロ災害実現だけでなく、今後の建設業を発展させるためには、これらの取り組みは絶対に避けては通れません。

2-3  コミュニケーションが取りやすい雰囲気作り

日々状況が刻々と変化する建設業の職場の危険を回避するには、作業を行う従業員同士の声掛けや、報連相の徹底といったコミュニケーションが必須になります。

建設業に携わる多くの方は、コミュニケーションの重要さをご存知と思いますが、立場に関係なくコミュニケーションが取りやすい雰囲気になっているかが重要です。

働き方改革の効果もあり、状況はかわりつつありますが、建設業界の職場は、未だに昭和時代的な上下関係が厳しい環境の職場もあります。

この様な職場では、せっかく下の立場の人が危険因子に気づいても、上の立場の人に対して意見を言えず、その危険因子を見逃してしまいがちです。

こういったことを防止するためには、普段から立場に関係なく、コミュニケーションが取りやすい雰囲気がある職場にすることが大切になります。

コミュニケーションが取りやすい職場こそが、「ゼロ災害」達成への近道です。

まとめ

以上、建設業の特徴と建設現場での「ゼロ災害」達成に向けて必要な取り組みを3つ紹介しました。

必要な取り組みは、以下の通りです。

  • 安全第一への意識向上
  • 安全衛生教育の徹底
  • コミュニケーションが取りやすい職場作り

いずれも建設業にとっては当たり前のことかもしれませんが、当たり前のことを日々コツコツと実行できている職場は多くありません。

「ゼロ災害」達成には欠かせない重要項目なので、しっかりと取り組んで、「ゼロ災害」の快適な職場を実現させましょう!

Efyees株式会社では、建設業の経営者に対するコーチング・カウンセリング、働きたいと思われる組織作りのアドバイス、また安全大会の講演など建築業に関する様々なコンサルタントを行っています。

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