先日、一人親方でやっている大工さんのコーチングを行ってきました。

継続で約1年続いている方なのですが、コーチングの時間がとても楽しみのようです。

彼に「なぜコーチングの時間が楽しみですか?」と聞くと「成長につながる時間だから」と答えてくれて私もとても嬉しく楽しい時間になっています。

客観的に見るととても凄いことが起きているのですが、会社の教育も同じようになればいいのになぁと心から思います。

だって、私は彼からコーチング代という給料をもらっているわけです。そして彼は私からコーチングを受けるのを楽しみにして、そして喜んでくれているわけです。

これが会社だったら、部下が先輩にコーチング代を払い、楽しみにしてコーチングを受け、そして喜んでくれているということなんです。

部下が先輩にコーチング代を払うって、凄いことですよね。

でも実際は、会社(先輩)が社員(部下)に給料を支払い、更に研修費も支払い受講させ、さらに社員たちは「なんで俺たちこんなの受けないといけないんだよ」と文句を言っているのが現実多いようです。

非常に悲しいですし、こんなことをやっていてはお互い良い成果にはつながりにくいですよね。


さて、今回私が大工さんにお伝えしたことは、時間管理と資金管理についてです。

彼は今まで誰かの下で仕事をしていて、現在は一人親方としてそれが非常に楽しいようで、それはそれでいいのですが、かなり自分の給料が安いところが課題のようです。

とりあえずお金が回っていればいいということで活動しているようですが、しっかり現実に目を向けてもらうように、毎月お金のチェックをしていくように指導しています。

まず覚えてもらっているのが、売上の5つの構成要素です。


売上 = ①売上原価 +(②人件費 + ③固定費 + ④戦略費)+ ⑤利益

そして、よく粗利(あらり)ということを聞くと思いますが、それは上記の②~⑤のことを言います。

売上 = ①売上原価 +(②人件費 + ③固定費 + ④戦略費)+ ⑤利益

   = ①売上原価 + 粗利益

そして、お金を管理するためには粗利率が何%必要なのかを把握する必要があります。

例えば粗利率が40%なら、売上原価は見積額の60%となります。

見積額 = 売上原価(60%)+ 粗利(40%)


シンプルな式ですが、実際に見積額を出す際は、積算をして売上原価しかわからないので、そこから逆算をしないといけません。

例えば、積算をして売上原価が150万円だとします。

その時の粗利は、見積額をAとすると


見積額(A)=売上原価(Aの60%)+ 粗利(Aの40%)

つまり

A = A×60% + A×40%

A = A×0.6 + A×0.4


売上原価:A×0.6 = 150万円 なので

A =150万円 + 0.4A

A-0.4A = 150万円

0.6A = 150万円

A = 150万円/0.6 = 250万円


よって

見積額(A)250万円 = 売上原価(150万円)+ 粗利(100万円)

となります。


粗利率がわかっているとこのように簡単に計算ができます。

だからまずは粗利率を把握することが大事なのですが、とても大事なポイントがあります。

あなたがもし税理士さんに顧問をお願いしていれば粗利率は出してもらえると思いますが、
個人事業主の場合、あなたの人件費が入っていない粗利率を言われる場合があります。

それでは、意味がありません。

なので、あなたが稼ぎたい年収を設定して、それをもとに粗利率を出す。

その粗利率で、各現場では積算をして見積もりを出すようにしてくださいね。


実際にコーチングを受けてくれている大工さんには、現場の作業時間とそれ以外の時間(移動時間、現調時間、書類作成時間など)を出してもらいました。

そしたら、

現場作業時間:75%
それ以外の時間:25%

の割合でした。


なので、希望年収の75%が売上原価、希望年収の25%が粗利益なので、それを追加して粗利率を出していきます。

希望年収を仮に600万円とすると、半年だと300万円

売上原価:300万円×75%=225万円
粗利益 :300万円×25%=75万円


2021年1月~6月までの売上原価と粗利益に上乗せして粗利率を出していきます。

上乗せすると、あらまぁ~、赤字ではないか、ということでコーチングを受けてくれている大工さんはショックを受けていました。

彼の戦いは、いよいよ始まったところですね。